ベンチャーに入社した知人がほぼ漏れなく3年以内に辞めていたので、理由を尋ねてみた話。
移転しました。
(追記・修正の上、移転しました)
(以下、元記事。上記リンクより内容が古いです)
ふと思い出したことがあったので、備忘。
キャリア系サイトの運営に携わっていた時に、不思議に思ったことがあります。筆者自身もそうですが、筆者の周囲にいるベンチャーに入社した知人は、その多く(約8割)が3年以内に辞めていたのです。そしてほぼ全社が、離職率が高めだったとのこと。
その事実を興味深いと思うのは、その企業の方々には申し訳ないのですが、会社は違えど(体感的とはいえ)離職率およそ80パーセントくらいまでいくとなると、社員離職に悩む多くのベンチャー企業には何らかの共通する要因があるのではないかとも思うのです。というわけで、彼・彼女に理由を訊いたことがあります。
今回はそれぞれのケースについて、まとめてみたいと思います。
case1:周りの社員が想像以上にモチベーションが低かった
多くの知人から耳にしたのが、このフレーズ。コーポレートページには熱いことが書いてあっても、実際に入社してみると大半の社員にそれだけの熱量(モチベーション)がなかったというケースです。
以前、お世話になった上司が言っていたのですが、ベンチャー企業はとにかく人が採用できないそうです。優秀な人を採用しようと思っても、まずできない。ですが、採用をかけないといけないくらい人手がない以上、誰かしら採用しないといけない。
結果、泣く泣く妥協してしまう。マッチングより人手不足解消を優先して。
よほど名のある人が起こしたベンチャーや恵まれた待遇でもない限り、優秀な人が進んで応募してくることはないんでしょうね。ちなみに件の上司は、地道に知人を回って協力してくれと頼み込んだそうでした。実現可能性は置いておくとしまして、それが一番確実なのかもしれません。
余談ですが、2015年に起業したある知人は、最初に雇い入れた営業責任者に月給80万を支払っているとのことでした。入社直後から相応以上の利益を上げてくれているとのことだったので満足そうでしたが・・・マジか。
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case2:昇進の可能性が(まず)ない
これも意外と多い答えでした。
特に創業メンバーが漏れなく残っているベンチャーに入社した知人が多く口にしていたように思います。というのも、なぜ可能性がないのか理由を尋ねると、創業メンバーが現在、漏れなく要職という要職を占めているからだという答えが多かったからです。おそらく「どうせその椅子が空くことはまずない」と感じるのでしょう。
ただこのケース、おそらく「展開しているビジネスの利益率が低く、新規事業や支社の立ち上げといった新たな展開がなさそう」など、ほかの理由が絡んでいる気もします。ポストが新設される可能性があれば、たぶん残るでしょうから。
あと創業メンバーの年齢も関係がある気がします。40〜50代だと、まず空かないだろうなと思いますが、20〜30代なら、わりと空くんじゃないだろうかとも思います。もともと起業したくらい起業家精神旺盛なわけですし。あくまでも個人的な感覚ですので、なんとも言えませんが。
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case3:1年たって成長が止まった
これも多かったです。しかも、3年どころか1年。
そして、あるベンチャーで人事を務めている知人から聴いたのですが、この理由の裏には以下のような背景があるのだとか。
ベンチャー企業は基本的に優秀な人が採用できないため、そこまでモチベーションが高くない社員も多いのだそうです(case1と同じですね)
すると何が起こるか?
優秀な人から辞めていくそうです。
優秀な人はあっという間に周囲の社員を追い抜いてしまい、この会社にいる意味がないと感じてしまうんだとか。
「なんとかしないといけないんだけどね」と知人は言っていましたが、そう簡単に何とかできないから、どこも採用や離職に悩んでいるんでしょうね。
よほど小さい規模(社員数人程度)のベンチャー企業や、厳選採用を行っている企業でもないと、この課題の解決は厳しそうですね・・・。あとそもそも「優秀とはなにをもって優秀というのか?」を定義できないと。
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case4:自分だけ損をしている気がしてきた
これは、case3と関連していそうです。
周りより仕事ができれば、当然その人のところに仕事がたくさんきます。それを理不尽だと思い、会社に嫌気が差してしまう・・・。優秀な人ほど、そう感じるのかもしれませんね。ここにcase02とか絡んでくると、つまり自己成長につながらない仕事がバンバン振られると、さすがに嫌になるのもわかる気がします。
ただ、これには「待遇に満足できない」という理由が絡んでいる気もします。つまり自分のほうが仕事量が多いのに、なぜ自分より仕事していないあの人と同じ待遇なのかとか。
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case5:社内が予想以上に整っていなかった
そこまで多い理由ではないですが、意外と多かったです。
どういうことかというと、業務フローや社内ルールなど、業務を行う上で土台となる部分がしっかりしていないということ。
個人的には「ベンチャーってそういうものじゃない? むしろそれをなんとかしていくのが面白いんじゃない?」というタイプなのですが、多くの知人に言われたのが「お前もあそこに行ったら、そんなこと言えなくなるって・・・」「最初は私だってそう思ってたよ」ということ。なんだか突っ込まないほうが良い気がしたので、それ以上はふれませんでしたが、たぶん予想以上だったんでしょうね・・・。ひぃ。
ただ、2人の気持ちも少しわかります。
筆者も業務フローや社内ルールが曖昧なままだと、かなりストレスを感じるのは事実です。部署ごとに勝手に決められたルールがあってそれに振り回されたり、マニュアルをきちんと整備しないから何回も同じことを質問してくる人がいたり、部署間を横断する案件になると何回も似たようなことでミーティングが開かれたり・・・などなど。
正直「最初にしっかりやっておけば、こんな無駄なことしないで済むのに・・・」と思ったことは過去に1度や2度ではありません。
そして、その現状に慣れ切ってしまった会社の場合、解消しようとしないで放置されていることもしばしば。
そうして要改善事案が積みゲーならぬ積み課題として増え続け、やがて手の施しようがなくなる(というか面倒くさくなる?)。結果、仕事でミスが出て怒られ云々などと負の連鎖が生まれてしまう・・・。イライラしないわけがありません。苦笑。
(個人的にはそうした現状を変えていくのが楽しいので、ストレスが緩和できるのだと思います)
しかもこれ、新入社員のモチベーションを下げる原因にもなる気がします。
マニュアルとかがないから、正しい業務フローや社内ルールがわからず、そのせいでミスをしてしまって怒られる。そうなると「理不尽だ!」と思う人も多そうです。実際それで会社が嫌になったという知人もいました。
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case6:社内の足並みがそろっていない
これは少ない(というかタイトルとあまりつながりがない)ケースだったのですが、興味深いなと思ったので一応。各部署が頑張り過ぎて、足並みがそろっていないというケースです。
例えば、あるA社の事例。営業部はとにかく売上を伸ばすために頑張り、人事部はとにかく働きやすい環境をつくるために頑張っていました。
で。結果、なにが起きたか?
人事は残業抑制など労働環境の改善を、ほぼトップダウンで敢行し、営業部からは「えー!」「いきなり過ぎ!」「そんなの無理!」と不満が噴出。最終的には、営業社員たちによる勤怠の虚偽申告が横行し、タイムカードに現れない残業が大量に発生したそうです。
そんなゴタゴタがあり、会社に嫌気が差したという話もありました。みんながみんな自分の仕事を頑張ろうとした結果、誰もうれしくないという、なんとも痛々しいケースですね・・・。ベンチャーならではな気がします。
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case7:声の大きい人が強い環境が嫌になった
これも少なかったですが、興味深かったので一応。声の大きい人の声が大き過ぎて嫌になってしまったというのもありました。
ことベンチャーだと、ほぼ全社員と絡むことになりますから、その人と関わらないとか不可能ですし、これはかなり苦痛でしょうね。まして同じ部署や一緒に仕事をする機会が多いとなると、けっこうなストレスになりそうな気がします。
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こんなところでしょうか。意外と「社長と合わない」とかはありませんでしたね。おそらく全員が50〜150人くらいの規模だったので、社長もあまり現場と絡まないことが多いのだと思います。10〜20人規模とかになると、あと部署によっても違うのでしょうけど(当該規模でも営業部とかだとガッツリ絡むでしょうし)