cachikuのブログ

元「本を読んだ気になるブログ」です。個人の備忘録である点は変わりません。

18新卒、がんばれ。

筆者の会社に新卒が入社して、1ヵ月が経ちました。入社から2週間ほどはいろいろぎこちない様子でしたが、ようやく借りてきた猫のような感じがなくなってきて、職場に馴染んだように思います。

一方、18新卒の採用活動も本格化。毎日のように説明会や面接が社内で行われています。新卒生からの電話を取ると、緊張気味の声で、ややつっかえながら用件を伝える様子がなんともほほ笑ましいものです。

 

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そんな最近、ある就活生と出逢いました。18新卒生です。

ニート時代、就活関連の仕事を手伝っていたからか、今でも知人から紹介された就活生の相談を受けることがあります。もう現場を離れて久しいので(業界に疎くなっているので)最近は断っているのですが、彼は昔の筆者と同じような悩みを抱えていたので、少し気になって会ってきました。

 

彼の悩み。それは「いま自分がやっている『就活』は、本当に『就活』なのか?」というものでした。

 

 

彼は昨年末あたりから自己分析などを開始、2月くらいからベンチャー企業を中心に説明会へ参加するなどして、いわゆる「やりたいこと」を探し始めました。ただ、4月に入ったあたりから、そんな自身の就活のあり方に疑問を持ち始めたそうです。

 

「自分はリクナビマイナビからしか仕事を探してない。でも、これは本当に『就活』といえるのか? ナビサイトに載ってない仕事だって、たくさんあるのに……」

 

相当に真面目な好青年だったので、ひとたび考え始めたら、止まらなくなってしまったのでしょう。この悩みと向き合っているうちに心を病んでしまっており、今は就活に取り組む気力を完全に失っていました。

 

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筆者も大学5年のとき、同じ悩みにぶつかったので、彼の気持ちがなんとなくわかります(余談。筆者は1年留年しています)

世の中にはリクナビマイナビといったナビサイトに載っていない仕事がたくさんありますよね。でも、就活のスタートは、大半の就活生が「リクナビマイナビに登録すること」だと思っています。無意識のうちに。

つまりいまの「就活」は、そもそもスタート段階で自分の可能性を狭めてしまっているのですね。ナビサイトに載っていない仕事は、実質的に「世の中に存在しない」というわけです。

 

ただ普通に考えて、世の中すべての仕事を調べることなどできません。よって(現実的には)ナビサイトが最も多くの企業と出逢える場だといえると思います。

つまり、彼が理想とする就活に最も近づける手段は、間違いなくナビサイトを利用することなわけです。また、それ以外のサービス(新卒紹介など)も併用すれば、さらに可能性を広げられます。

(もちろん、ナビサイトに載っていない(であろう)仕事、たとえば、伝統工芸の職人さんなどをめざしたい場合は話が変わってきますが)

 

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そんな話をまず伝えたのですが、それだけでは納得できなかったようで、彼の表情は渋いままでした。

 

真面目な就活生ほど、こうした疑問にぶつかると、とことんまで悩んでしまい、その挙句、自身が納得できない悲しい結末を迎えてしまうことが多いような気がします。

ナビサイトは、ただの手段です。それ自体に善悪はありません。善悪を付与するのは人間、つまり就活生自身です。

しかし、だからこそ、ひとたび「ナビサイト=就活を捻じ曲げているわるもの」と捉えてしまった就活生を「ナビサイトにも良い面があるんだよ」という話で説得するのは、なかなか難しいものがあります。

 

実際、先の話(ナビサイトが彼の理想に最も近いこと)を伝えたとき「●●さんは、それで納得できたんですか?」と、彼は尋ねてきました。最初に挨拶したときは「答えが得られる」と期待していたのか、表情がやわらかかったのですが、このときには失望の色がうっすらと見て取れるほど沈んだ雰囲気に変わっていたのを覚えています。

 

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就活において、こうした「明確な答え」を求められると、正直かなり困ってしまいます。そもそも就活の方法論に「持論」はあっても「正論」などないので……。

ここで彼に「こうするのが正解だと思う」「自分はこうやって成功した」と伝えるのは簡単です(筆者は新卒の就活で内定をいただけませんでしたが……)。ただ、筆者の持論はあくまで筆者にとっての「正論」であって、彼にとってもまた「正論」であるとは限りません。

持論を正しいものとして就活生に伝えるのは、就活生に「自分が用意したレールを歩きなさい」と指示する=就活生の可能性を潰すのと同じことになってしまいます。

 

そのため、もし既存のやり方が受け入れられない場合、自分自身で最適解を探し出してもらうほかありません。こちらにできるのは、せいぜい「例えば、こういう風に取り組んだ人がいた」「こんな人もいた」というケーススタディを提示して、自分に合っていそうなやり方を見つけてもらうことだけです。あとは一緒に考えるくらいでしょうか。

 

だから就活の仕事を手伝っていた当時も、就活生の可能性を少しでも広げられればと思い、いろんな人に会って、どんな風に就活に取り組んできたのかを拾い集めていました。100人いれば100パターン……とまではいきませんが、それでも40パターンくらいはありました。

 

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世の中には、本当にいろいろな就活スタイルがあります。

 

  • 新卒採用をやっていない会社に惹かれて、SNSから社長に直接メッセージを送った方
  • 留年して日本一周の旅に出た方(いわゆる自分探し的な感じです)
  • やりたいことを探すため、2ヵ月ごとに興味ある仕事をアルバイトですべて経験した方(内定ないままご卒業されて、卒後1年くらいは続けてらっしゃいました)
  • 営業職の長期インターンシップを通じて多くの会社と出逢い、自分に合う業界や会社を探した方
  • 逆求人イベントに参加された方
  • 漁師をめざして、漁業体験イベントにいくつも参加した方
  • 組織で働くのが性に合わないと、自分で会社を興した方
  • 同じような理由で、いきなりフリーランスエンジニアになった方
  • やっぱり放送作家になりたいと就活を辞めた方
  • 新卒紹介会社を利用した方
  • 新卒枠で落ちた憧れの会社に、リベンジで中途採用枠から応募した方

 

もちろん、誰もがこのやり方で良い結果を得たわけではありません。SNSの人は結局、SNS経由で会社は決まりませんでしたし、2ヵ月ごとにアルバイトされていた方も、最終的には普通にマイナビ経由で応募した会社へ就職されました。

 

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ただ、総じて共通しているなと思ったのは、誰も後悔していないという点です。

 

皆さん、あり得る可能性を徹底的に考え、それを叶えようと実際に行動を起こし、可能な限りの努力を積み上げていらっしゃいました。だからだと思いますが、そのやり方で仕事をつかんだ方もそうでない方も、当時の選択を一人も後悔していませんでした。

 

就活で大事なのは、ここではないかなと思います。自分で「こうやろう!」と決断した方法でないと、どうしても納得感は得られないでしょう。仕事で上司から「こうやれ」と言われた方法が明らかに非効率だったり間違ったりしている(と自分が感じる)場合、その方法を採るのはストレスでしかありません。それと似たような感じかなと思います。

 

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彼には、その40パターン(たぶん)のうち、思い出せる限りを伝え、そして「皆さんがその選択を後悔していない」ことを伝えました。

 

そうすると、なにかふれるものがあったのか、すごく興味を示してくれました。理由を尋ねてみると、そんなにたくさん就活のやり方があることに驚いたとのこと。もし彼の可能性を少しでも広げられたのであれば、うれしい限りだなと思います。

 

ただ、個人的にはなんとなくモヤモヤ感も残っています。

なんかもっと上手いアドバイスとか、できなかったものかなぁ……と。

 

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もしいまの就活のあり方に疑問を感じて、途中で諦めたくなったり、あるいはすでに諦めて活動をいったん離れたりした18新卒の方がいたとしても、それもまた一つのあり方だと個人的には思います。それは「道を外れた」のではなく「道を切り拓いた」だけで(就活に正解など存在しないので)、間違いではないはずですから。

 

そうして自分の頭で悩み、考え、決断して、行動することが、納得感ある就活につながるのではないかと思います。ただ、そうして「我が道を切り拓いた」結果、内定が出ないこともあり得ますので、軽々しくオススメはできませんが……(実際、筆者もそうだったので)

 

……なんかうまくまとまりませんでしたが、そんなこんなで終わります。

また書きたいことがあったら、追記するかもしれません。

 

 

18新卒、がんばれ。