【ラノベ創作論】割りと効果的だと勝手に思っている、ラノベでキャラクターを創造する4ステップ
今回はキャラクターの設定について、振り返ってみようかなと思います。
ちなみに、タイトル回収は少し先です。そのために必要な情報「キャラクター設定の項目」について先に書いておきます。
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筆者がラノベを書く時、キャラクターの設定として、以下の要素を固めるようにしています。
- 一人称と二人称
- 言葉遣い(語尾)
- 趣味
- 特技
- 苦手なこと
- 癖
- 目的(ストーリーにおける役回り)
- 動機(その役回りに至る理由)
- 台詞(喜怒哀楽それぞれ最低1つ。できれば作中で実際に話す台詞)
- 性格
- 欠点(コンプレックス)
- 大切なもの
- ルックス(身長、体重、髪型や髪の色、瞳の形や色、体型、それ以外の特徴など)
- 服装(私服とそれ以外)
- 武器(バトルものの場合)
- 家族構成
2013年5月からラノベを書き始めましたが、この形に落ち着いたのは2017年に入ってから。3年半くらいかかった計算ですね。
作品を書く
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「書きにくい」と思ったら立ち止まって「なぜ書きにくいのか?」を考える
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足りなかった要素があることが原因なら、それを事前に決めるべき設定として追加する(キャラクター設定ではなく、文章力などが原因の場合もあるので注意)
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再び書く
これを何度も繰り返して、自分が「書きやすい」と思うまで、事前に決めるべき設定の不足を洗い出し続けました。
そして行き着いたのが、上記フォーマットです。
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最初の頃は「癖」や「目的」、そして「動機」などはありませんでした。
このうち「目的」「動機」「欠点」は、ライトノベル作家の広岡威吹先生のブログから拝借させていただきました。
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とてもためになる内容ですので、該当部分を引用させていただきます(記事のほうもぜひ読んでみてください)
それは目的と動機から来る。
この作品を通して○○を成し遂げるんだ! という主人公の目的が冒頭で示されないと読者は物語に入っていけません。物語の方向性を指し示すというか。
でも目的だけではだめで、目的を補佐する動機も必要です。
例えば主人公はお金が欲しいとします。お金はみんな欲しいです。だから共感は得られます。
でも、なぜ金が欲しいのか? と問いかけた場合に、お金があればリッチに暮らせるから、では動機として弱いです。
お金が欲しいが口癖で、常にワリカンを要求し、自販機の下を漁る、ケチ臭い主人公。
でも実は、病気の妹の治療費のため多額のお金が必要だった、となると動機は十分です。
そして妹の容体が急変したために急きょ大金が必要になり、大金を得られる何かの大会に命がけで挑戦していく……みたいな展開。
ケチ臭い嫌な奴と思っていたら、実は家族思いのいい奴だった、となりますので。
学校一の不良で嫌われ者の奴が雨の日に子犬を助けていた、キャッ素敵っ! の理論です。
応援したくなるし、共感や憧れを抱きやすいキャラになります。
キャラクター設定の中に「目的」「動機」を加えて、初めて書いた作品が一緒に公開している『喪国の刻聖騎士』なのですが、書いていて思ったのは「純粋に書きやすくなった」ということ。
基本、このキャラクター設定は「一言で書く」「端的に書く」ことを自分ルールとしています。
よって「目的」や「動機」も端的に、理想的には一言で書くことになるのですが、それはストーリーやそこにおけるキャラクターの振る舞いを事前に考え抜いておかないとできません。
言い換えれば、この2項目を追加したことで、ストーリーの中におけるキャラクターの立ち位置が、すごく明瞭になりました。
また「ストーリーがぶれていないか?」「キャラクターの振る舞いに説得力・妥当性はあるか? ご都合主義になっていないか?」などを判断する上でも役に立っています。そうした指標としても有益なため、この2つはかなり大切にしています。
ちなみに、全部が埋まることはまれです。大抵どこか「なし」となります。癖とかないことのほうが多いですね。
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さて、タイトルを回収しましょう。
実際にキャラクターを考えるときは、以下のようなプロセスを踏んでいます。
- モデルを決める
- モデルの要素を上記フォーマットにそろえて洗い出す
- モデルから外したくない要素をロックする
- モデルの軸をずらす
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1について。
これはわかりやすいと思います。どんなキャラクターを書きたいのか、モデルを決めます。
筆者の場合、創作の流れは以下のようになっています。
ストーリーの大枠が固まる
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それに伴ってキャラクターの性格などがある程度決まる
「ストーリーの中で主人公は大きなコンプレックスを抱えていることがキーとなる。だから性格は暗く、友達は少なく、周囲に対して密かに嫉妬している」といった感じですね。
そして、そのイメージにあったモデルを探します。ネタ元はいろいろで、ラノベやアニメだけでなく漫画やゲーム、アダルトゲームまでさまざま。筆者の場合、ゲームとアダルトゲームが多いでしょうか。
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2について。
そのモデルの持つ上記フォーマットの要素を洗い出します。これは淡々とやるだけですね。
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3について。
この洗い出した各要素のうち、残したい要素をロックします。これは絶対に変更しません。「ルックスは似ている感じが良い」「性格は真逆にしたいから変えよう」などなど。そして要変更の項目に書かれている内容は、漏れなく消します。
ただ、ルックスそのままですと、まんまパクリになってしまうので、当然ながらちょこちょこは変えます。ちなみに僕がよくやる変更は「髪を短くする」。ショートの子が好きなんで。笑。
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ラスト。4について。
これは、例えば「モデルのキャラクターに真逆の特徴を与えてギャップを出す」といったこと。つまりは「既存のモデルと同じ特徴を持つキャラクターにしない」ための作業です。
3までの作業を行ったところで、そのキャラクターはモデルとそう変わりません。つまりデジャブがハンパないわけです。
では、どうするか?
軸をずらすことでデジャブを崩します。
清楚なキャラクターなら、破天荒な面や気違いな面を追加してみるとかわかりやすいですね。モデルが主人公にデレデレのキャラクターなら、そこに例えばツンを追加するわけです。
ちなみに、何かを削ることで軸をずらすことはしません。その理由は2つ。削る方法では大して変わらないということ。そして特徴を消すために削る項目は大抵、キャラクターの根幹に関わるため、削除不可能であること。
よって「追加」という方法を取っています。
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この4ステップを踏む方法が個人的に便利だと思うのは、「テンプレをそこまで外さず、でもちょっと見え方の違うキャラクター」が誕生するから。
「テンプレ」という単語は、揶揄される意味で使われることも多いですが、言い換えれば「それだけ需要がある、確かな実績がある」からこそ「テンプレ」なわけです。そういうわけで、新人賞をめざして修行を始めた頃は、とにかく「テンプレをしっかり押さえる」ことを大切にしていました。
ですが、あまりにテンプレ過ぎると興味を持ってもらえなくなります。
だから、キャラクターの軸をずらします。
実際、この方法に変えてから、新人賞のキャラクター項目の評価も上がりました。
評価の詳細は各賞の規程により書けませんが、最終選考までいったGA文庫大賞応募作は、キャラクターの評価だけなぜか抜きん出ていました。
・・・もっとも、本人が一番頑張ったのは設定・ストーリー面だったので、それはそれで悲しかったのですが。苦笑涙。
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余談。
別に掲載している『喪国の刻聖騎士』に登場するヒロイン(というかぶっちゃけ2人目の主人公)のミスティは、あるアダルトゲーム(少し前に発売された有名RPG)のキャラクターがモデルとなっています。名前も似ているので、そちらの世界に詳しい方ならあっさり見抜いていただけるのではないかと思います。
短い金髪、碧眼、槍、そして制服の特徴・・・。
どれもモデルと同じです。違うのは「お肉がないから獲ってきた」とか言ってしまう脳筋なところですね。個人的に「清楚で脳筋な子」が大好きです。笑。