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本を読んだ気になるブログ

難しい本を中学生でも分かるくらい簡単に解説する予定のブログ

クラウゼヴィッツ『戦争論』vol.006|戦争は相手に「勝てない」と思わせられるかどうかも重要

クラウゼヴィッツ『戦争論』

《参考図書

 

《今話で取り扱う範囲》

  • 戦争における目的と手段(第1篇・第2章|〜p.75)

 

     ◇

 

戦争は相手に「勝てない」と思わせられるかどうかも重要

第1章で、戦争がいかに複雑で変化に富んでいるのか、その実態が分かりました。戦争には「交互作用」が内在するものの、それはあくまでも理論上の話。実際の戦争は国民や政治、経済などさまざまな要素の影響を受けて、戦争を引き起こす理由(動因)が強まったり弱まったりします。

第2章では、この「変化に富んでいる」こと、つまり純粋に理論によってのみ考えられないという性質が、戦争の目的と手段にどのような影響を与えるのかを見ていきます。

 

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クラウゼヴィッツ『戦争論』vol.005|戦争とは「ほかの手段をもってする政治の継続」である

クラウゼヴィッツ『戦争論』

《参考図書

 

《今話で取り扱う範囲》

  • 戦争はその客観的性質から言って博戯であるがしかしまたその主観的性質から言ってもやはり博戯となる(第1篇・第1章・第21節)
  • このことは一般に人間の精神によく合致する(第1篇・第1章・第22節)
  • とは言え戦争はやはり厳粛な目的を達成するための厳粛な手段である。戦争のいっそう詳細な規定(第1篇・第1章・第23節)
  • 戦争は政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続にほかならない(第1篇・第1章・第24節)
  • 戦争には二通りの種類がある(第1篇・第1章・第25節)
  • これら二種の戦争はいずれも政治的行動と見なされてよい(第1篇・第1章・第26節)
  • 上述の見解から引き出された結論は戦史の理解に役立ちまた戦争理論の基礎を成すものである(第1篇・第1章・第27節)
  • 戦争理論に対する成果(第1篇・第1章・第28節)

 

     ◇

 

戦争とは「ほかの手段をもってする政治の継続」である

前回、戦争には偶然がつきものであるという事実から、クラウゼヴィッツの「戦争とは博戯のようなものである」という言葉を紹介して締め括りました。今回はそのつづきです。

 

前回の部分で、クラウゼヴィッツは「戦争は客観的に見て『博戯』である」と語りましたが、つづく第21節では「主観的に見ても、やはり『博戯』である」と言います。では、なぜそう定義できるのか。そこには将帥の精神的な素養が影響してきます。

 

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クラウゼヴィッツ『戦争論』vol.004|戦争とは「博戯(賭け事)」のようなものである

クラウゼヴィッツ『戦争論』

《参考図書

 

《今話で取り扱う範囲》

  • 攻撃と防御とは種類と強弱を異にする二個の相違なるものであるからこれに両極性の原理を適用することはできない(第1篇・第1章・第16節)
  • 一般に防御は攻撃よりも強力でありかかる事情が両極性のはたらきをしばしば消滅させる、また軍事的行動に停止状態の生じる理由もこれによってよく説明されるのである(第1篇・第1章・第17節)
  • 軍事的行動を停止せしめる第二の理由は不完全な情況判断にある(第1篇・第1章・第18節)
  • 軍事的行動が頻繁に停止されると戦争はその絶対的形態からまずまず遠ざかって確からしさの計算となる(第1篇・第1章・第19節)
  • それだから戦争を博戯たらしめるにはこれに偶然が付け加わりさえすればよい、ところが戦争に偶然は付き物なのである(第1篇・第1章・第20節)

 

     ◇

 

戦争とは「博戯(賭け事)」のようなものである

こちらの意志を相手に強要することが目的の戦争において、なぜか軍事行動を停止する=目的の達成を目指さない光景が見られることがあります。そして、この一見すると矛盾していると思われる状況がなぜ発生するのか、それを説明するためにクラウゼヴィッツは「両極性」という概念を打ち立てました。それが前回のvol.003の話です。

今回は、この「両極性」について見ていきます。

 

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クラウゼヴィッツ『戦争論』vol.003|なぜか目的を達成しようとしない(ように見える)戦争が、たしかに存在する

クラウゼヴィッツ『戦争論』

《参考図書

 

《今話で取り扱う範囲》

  • そこで政治的目的が再び出現する(第1篇・第1章・第11節)
  • 軍事的行動に停止状態の生じる理由は上述の説明だけではまだはっきりしない(第1篇・第1章・第12節)
  • 軍事的活動を停止し得る理由はただ一つある、そしてこの理由は常に一方の側だけに有るように思われる(第1篇・第1章・第13節)
  • このような事情は軍事的行動に或る種の連続性を与えこの連続性はまたしても彼我双方の行動を極度に至らしめるかのように思われる(第1篇・第1章・第14節)
  • そこで両極性という原理を立てることが必要となる(第1篇・第1章・第15節)

 

     ◇

 

なぜか目的を達成しようとしない(ように見える)戦争が、たしかに存在する

vol.002によって、戦争は外部から様々な影響を受けることが分かりました。ゆえに戦争を「交互作用」だけで考察するのは不適切だ、というのがクラウゼヴィッツの主張でしたね。

それにつづく第11節では、この「外から戦争に影響を与えるもの」には具体的になにがあるのか、その影響はどんなものなのかを考察しています。

 

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クラウゼヴィッツ『戦争論』vol.002|たった一度の戦いで決着がつく戦争は存在しない

クラウゼヴィッツ『戦争論』

《参考図書

 

《今話で取り扱う範囲》

  • 現実における手直し(第1篇・第1章・第6節)
  • 戦争は孤立した行動ではない(第1篇・第1章・第7節)
  • 戦争は継続のないただ一回の会戦から成るのではない(第1篇・第1章・第8節)
  • 戦争とそれから生じる結果とはいずれも絶対的なものではない(第1篇・第1章・第9節)
  • そこで現実の戦争において確実と認められるものが概念における極端なもの絶対的なものに代るのである(第1篇・第1章・第10節)

 

     ◇

 

たった一度の戦いで決着がつく戦争は存在しない

vol.001では、戦争には3つの「交互作用」があり、これによって対峙する両軍は限界まで戦いつづけることが分かりました。ですが、第6節でクラウゼヴィッツは「これは机上の話にすぎない」と言います。つまり、この「交互作用」とは机上の空論であって「現実の戦争に適合する法則ではあり得ない」というわけです。

こう書きますと「おいおい、じゃあ、第5節までの話(vol.001)はなんだったんだよ」と言いたくなるかもしれませんが、実際にそう書いてあるので、なにとぞご理解いただければと……。

 

では、いったいなぜ、この「交互作用」は机上の空論なのでしょうか。

 

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