cachikuのブログ

元「本を読んだ気になるブログ」です。個人の備忘録である点は変わりません。

ライターのスキルを300文字の試験で正確に見抜く試験方法を考える

現在、弊社では、外部ライターのトライアル試験の見直しが急務となっています。自社媒体のテストで記事を書いてもらっているのですが、それだけではライターのスキルを意外と見抜けていないのです。

その原因は、おそらく参照すべきものがあるからでしょう。要は「こう書けばいいんだな」というサンプルがあるため(正解の型が手に入るので)、多少文章力がなくても、合格ラインに届いてしまうのですね。そうした理由から、自社メディアと同じ記事を書いてもらうというテストは、そもそも精度が低いと思っています(文章はゼロから書くほうが難しいですしね)

 

また、弊社のトライアルは5,000文字ほど書いてもらうため、評価する筆者たち社内ライターにとっても結構な負担となっており、正直なところ、かなり効率が悪いです。おまけに、うれしいことに応募者は後を絶たず……。

 

そんな業務過多に入社1ヵ月で早くも我慢できなくなった(苦笑)新参者の筆者は、なんとかしましょうよと直談判して「正確かつ効率的にライターのスキルを見抜く300文字程度のトライアル」を開発することになりました(寛容な会社で助かりました。笑)

今回はその備忘録です。

 

 

今回、新たなトライアル試験を考える上で自分に課した条件は、以下の4点です。

 

  • 一次スクリーニング試験であること
  • 3分以内に評価できること
  • 基本的な文章力と理解力を見抜くこと
  • 300文字以下であること

 

従来の試験はなくせないので、その前に一次スクリーニングを行って全体の負担を減らすためのトライアルという位置づけです。そのため、目的としては「時間をかけずに基礎力を見抜く」というものになります。

 

……とはいったものの、最初はめっちゃ苦労しました。当然ながら、そんな都合の良い方法があれば、とっくに広まっているわけでして、何度も失敗を繰り返しました。

その中で、ようやっと「これわりとうまくいくんじゃないか?」と実感を得つつあるのが、こんな試験。

 

「ある駅について、100文字で紹介してください」

 

これです。これだけです。

 

なぜ「駅の紹介文」がスクリーニングに有効なのか

よく不動産情報サイトなどで「新宿区とは?」「港区とは?」のような町の紹介文を見たことがある方、いらっしゃるかと思います。seo対策としてつっこまれているテキストですね。あれの駅バージョンだと思ってください。

 

では、なぜこの「駅の紹介文」がスクリーニングに有効なのかといいますと、たった100文字でいろいろな要素を効率良く見抜ける見込みがあるからです。現状、運用している中では、主に以下のような点を見極める上で効果的だと考えています。

 

・依頼内容をきちんと理解できるライターかどうか

この試験で最も多い落選理由が、実はこの「試験内容を理解できていない」というもの。

具体的には、多くの方が「町について」紹介してきます。「新宿駅について100文字で紹介してください」と依頼すると、かなりの方が「新宿という駅」についてではなくて「新宿という町」について書いてくるのです。わりとびっくりします。冗談抜きで新宿駅は、これこれこんなこんな特徴のある町です」という文章が、あるいはそういったニュアンスの文章がいくつも届きます。

 

そうなる理由は、後の話ともかぶりますが、駅に関する情報が集まりにくいからだと思います。駅について書いてくださいという指示に対して、町の人口など市区町村の情報が多いのが、この試験の特徴です(それが最終的に、駅の特徴に結び付けられていれば問題はないのですが)

 

・きちんと裏を取る(調べる癖がついている)ライターかどうか

この試験にはいくつか条件をつけるのですが(応募者の過去の生活歴・仕事歴によって変えます)、路線名を入れてくださいという条件をつけると、ライターの仕事に対する姿勢を見抜く上で効果的っぽいです。

 

というのも、路線名は「きちんと調べて書いているのか」あるいは「知っている言葉だからと油断しているのか」この違いが如実に現れる気がしています。たとえば、東京都の路線ですと、個人的によく見る誤りが「東京メトロ丸の内線」というもの。正しくは「東京メトロ丸ノ内線」ですね。

東急なんかも、人によって違いが現れます。単に「田園都市線」と書く人もいれば「東急田園都市線」と書く人もいれば「東急電鉄田園都市線」と書く人もいれば、さらには「東京急行電鉄田園都市線」と厳密に書いてくる人もいます。路線名一つで、そのライターの仕事に対する意識が、わりとよく見えてきます。

 

また、なんらかの形で地名を入れてもらうのも同じ理由から有効です。たとえば、国分寺市の「西恋ケ窪」のように「ケ」が入る地名など。武蔵野線の「恋ヶ窪駅」が小さい「ヶ」だからなのか、住所の「恋ケ窪」も「恋ヶ窪」と小さい「ヶ」で書いてくるライターが多いです。

 

こうした些細な点でも、自分の知識を過信しないで、きちんと裏を取っているライターかどうかは、医療系メディアとしては死活問題だったりします。

 

エビデンスあるサイトを参照しているライターかどうか

直近の話と少しかぶりますが。

この「◯◯駅について書いてください」という出題をすると、かなり多くの人がウィキペディアを参照します。それくらい回答内容がそっくりです。ですが、ウィキペディアは正しい内容もありますが、大半の記載内容にはエビデンスがありません。

ただ、じゃあ鉄道会社のホームページを見ればいいかというと、各社のサイトに駅についての情報はほとんど掲載されていません。

 

そうした経験則から、「このテーマは情報を集めるのにわりと苦労する。言い換えれば、ライターの情報収集力や情報収集のスタンスの一端を知ることができるのでは?」と思っています。

実際、それっぽい傾向が見て取れてはいます。びっくりするのが、やたらに「治安が良い」といったフレーズを見ます。おそらく情報が集まらなすぎて、苦しくなって書いたのでしょう。根拠は不明なのですが、とにかくいろんな駅の治安が良いです。苦笑。

 

ご自身の最寄り駅であっても、使ってはいても駅について詳しく知っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。それくらい、駅に関する記事って、100文字書くだけでも苦労すると思っています(詳しい人なら、それこそ10秒くらいで書けるのでしょうが)

 

・書くべき情報の取捨選択や構成力がうまいライターかどうか

100文字しかないというのも、わりとポイントです。

短く簡潔にまとめるほど、難しいこともありません。ましてや100文字。それで魅力的な文章に仕上げるとなると、けっこうな力を求められます。全体の構成や言葉選び、拾うべきネタ、意外と考えることが多いのですね。そこに「路線名は必ず入れてください」などと条件がつくと、それだけで20文字くらいは持っていかれます。

逆にすごい人は、本当にすごいです。たった100文字なのに、リアルにその駅に行ってみたいと思わせられます。

 

ただ、長い記事は苦手でも短い文章はやたらに得意というライターさんがいるのも事実です。そのため、100文字で読者の心を引くことができる人でも、数千文字の記事になったときに同じように書けるかというと、そうはいかないケースもあります。ですので、弊社では必ず自社メディアの記事(長い記事)も書いてもらっています。

 

こんなところでしょうか。

このスクリーニング方法の特徴としては、スキルはもちろん、仕事に対して誠実かどうかという点も見える点かなと思っています。

弊社は医療系メディアのため、著作権や肖像権だけでなく、医療広告ガイドラインなど遵守すべきルールがたくさんあります。また弊社独自のルールもあり、さらに共同通信社の記者ハンドブックにも準じなければならないため、リアルに一言一句のレベルで「こう書きなさい」ということがルール決めされています。だから、仕事に対してどこまで誠実かを知る必要もあるため、ある程度ですが人柄も見えるのはうれしいですね。

 

 

といった感じです。

 

眠いので寝ます。

 

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《露骨な宣伝》

趣味で海戦の小説を書いていたりします。

 

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