cachikuのブログ

元「本を読んだ気になるブログ」です。個人の備忘録である点は変わりません。

東京ドーム何個分っていわれてもピンとこない件。

少し前、仕事の取材中に「ここの広さは約50ヘクタールで、東京ドーム11個分もあるんですよ!」という表現を耳にしました。

おそらくその施設の広さをアピールしたかったのだと思いますが、筆者は後楽園ホールに行ったことはあっても、東京ドームには行ったことがないので、まるでピンときませんでした。

 

筆者にとって、東京ドームとは「テレビで見るもの」で、テレビで見る東京ドームは実際そこまで広く見えません(ほとんどグラウンドしか映らないからだと思います)。だから東京ドーム11個分といわれても「すごく広いですね!」とは思えず、どう反応したものか、ものすごく困りました。

 

実際に東京ドームの中に入ったことがある方にとっては、おそらくピンとくるのだと思います。「あんなでかいものが11個も入るの!?」と。でも、東京ドームに行ったことがない人には、なにも伝わりません。

余談ですが、知人のスポーツ関係の方によると、野球観戦者の大半はリピーターだそうです。カープ女子などの例外を除いては。

だから、東京ドームの広さを肌感で知っている人はそこまで多くないのではないか、この「東京ドーム何個分」というたとえは大半の人に届かないんじゃないか、とも思います。

 

では、良いたとえって、どんなたとえでしょう?

 

 

良いたとえには「わかりやすさ」と「たとえたものの身近さ」の2つがそろっていると個人的には思っています。今回の東京ドームを例とすれば、わかりやすさは「11個分」という数字で担保できていますが、たとえに出した「東京ドーム」が聞き手にとって身近なのかどうか、という点がちょっと怪しいわけですね。

 

この「身近さ」、よりわかりやすく書くと「ピンとくるかどうか」を考える上で大切なのは、もちろん「相手がピンとくるかどうか」です。

ですが、多くのたとえを見ていますと「自分がピンときているかどうか」を基準にたとえるものが選ばれてしまっているケースも多いように感じます。たとえば今回の東京ドームのように。

 

たとえは「相手がわかりにくいだろうから、わかるように伝えるためのツール」です。つまり相手にピンときてもらえるものに置き換えなければなりません。

東京で暮らしたことがない人に「東京の面積の5倍」といわれても、ピンとはこないでしょう。それは身近ではないからです。ですが、東京で暮らしたことがある人なら、東京の面積の5倍といわれれば(少しは)その広さを実感できると思います。

 

もちろん、聞き手が東京をどこまで知っているかによっても、たとえの印象は変わってきます。23区だけしか回ったことがない方と、ほぼ全域に行ったことがある方とでは、東京1個分の体感的な広さは後者の方のほうが大きいでしょうから、「東京の面積の5倍」といわれたときに受ける驚き具合もまた大きいでしょう。

 

以前、あるクリニックの先生(歯科)にお会いしたとき、レントゲンやCTによる被ばく量について伺ったことがあります。たとえば、レントゲンにも9枚法とか10枚法とか12枚法とか14枚法とかいろいろあるのですが、枚数を撮れば撮るほど、被ばく量は増えます。

この点を気にされる患者さんはやっぱり多いそうですが、こちらの先生は不安を取り除くために「夏場の1日の外出で浴びるのと同じくらいの放射線量」と説明しているそうです。そういわれますと、たしかに少し不安も和らぎますね。夏場の外出は誰もが毎年やっていることですから。それだけで済んで病気が見つかって大事を避けられるなら、検査を受けようという気が起こる人も多そうです。

 

余談ですが、広島県三次市が毎月、自然放射線の量を測定されていまして、拝見してみますと、たとえば2016年8月は【 0.100〜0.150マイクロシーベルト毎時 】だったそうです(参照:広島県三次市 放射線量の測定

 

もちろんターゲットが広いメディアになってきますと、そのあたりの気遣いが難しくなってくるでしょう。より聞き手にインパクトを伝えるため、わかりやすく伝えるためにたとえを用いる上では、相手のことをどれだけ知っているかが重要になるため。

ですが、そうした気遣いを念頭に置くことなく、単に常套句だからといった感じで「東京ドーム何個分」という表現を安易に(思考停止して)使ってしまっているメディアも多いように感じます。

 

わかりやすく、かつ聞き手にとって身近なものでたとえる。

基本中の基本ですけど、やっぱり難しいのでしょうね。

 

今日のところは眠いので、寝ます。

 

 

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《露骨な宣伝》

趣味で海戦の小説を書いていたりします。

 

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