cachikuのブログ

元「本を読んだ気になるブログ」です。個人の備忘録である点は変わりません。

【ラノベ創作論】バトルは可能な限り無言であるべきだと思う理由

ラノベを書き始めて、ずっと悩んでいることの一つに「地の文とセリフの比率」があります。

よく「セリフばかりになると、小説ではなくシナリオっぽくなる」と言われますが、では両者の比率はどのくらいなら適量なのでしょう? それ以前に、そもそも地の文とセリフにはどんな機能があるのでしょうか?

 

そんなことをここ最近ずっと振り返っていたのですが、まるでうまくまとまりませんでした。

というわけで、部分ごとに切り出して考えようと思い直し、まず今回はバトルシーンにおける地の文とセリフについて振り返ってみたいと思います(次回があるのでしょうか・・・)

 

 

筆者の描くバトルシーンは基本、キャラクターが無言です。

発する言葉は、なるべく、

 

  • 心の声
  • 苦悶や気合などの思わず飛び出る声
  • 魔法の詠唱など、ないと逆におかしい声
  • 演出上どうしても入れざるを得ない声

 

の4つだけになるようにしています。

 

     *

 

なぜそこまでセリフを削りに削るのかといいますと、理由は至極単純で「戦闘中は喋らないと思うから」です。

 

スポーツや格闘技の試合中、選手たちはほとんど口を開きません。野球のバッターが自分の打法について延々と説明することはありませんし、柔道家が自身の得意とする投げがどれだけ凄いのかアピールすることもありません。大外刈りをかけるときに「大外刈り!」と叫ぶこともありません。

 

そして、ラノベにおけるバトルもそれと同じではないかと筆者は思っている、単純にそれだけなのです。

 

ただ、この視点からいきますと「心の声」は微妙なところですね。スポーツや格闘技の最中は体が無意識に動きますから。ただ筆者自身、小中高とクラブ活動や部活でさまざまなスポーツや格闘技に取り組んできた中で、いろいろ考えながら体を動かしていた時もけっこうあったので、そこまで違和感を覚える人は少ないかなと思っています。

 

     *

 

これに対して「創作なのだから別に許される」という意見もあると思います。実際、バトルの最中に技名を叫んだり、自身の異能について説明したりしているラノベや漫画はたくさんありますよね。むしろそちらのほうが多いと思います。

 

ですが、筆者は「創作だからこそ、最低限のリアリティは担保されるべき」と考えています。

なぜか?

そうしないと文字どおりなんでもありになってしまい、それが行き過ぎると作品として成り立たないと考えているからです。

 

では、ここでいう「最低限のリアリティ」とは?

それは「筆者たちが生きる現実世界と共通するリアリティ」です。

これはどれほどフィクションな世界であっても、決して崩してはならないと思っています。

 

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筆者たちが生きる現実世界と共通するリアリティとは、なんでしょう?

現実世界と共通する要素とは、なんでしょう?

 

バトルに関していえば、それは「戦う」という点です。

 

現実にも上記のスポーツや格闘技のように「戦い」は存在します。そして大半の方がこの「戦い」を経験したことがあります。

そして、その時は誰もが、ほぼ無言で取り組んでいたことでしょう。

 

よって「戦い」は基本的に無言で行われるものであるというのは、一般的な認識だと筆者は考えています。それが最大多数にとってのリアリティであると。だから、このリアリティを放棄してしまうと、「ん?」と違和感を抱いてしまう読者もいると思うのです。

 

よって「バトルにおいて、キャラクターはほぼ無言であるべき」という結論に達したのです。私語厳禁というわけですね。笑。

 

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ただ、これは掲載媒体によって使い分けるべき視点だとも思っています。

 

例えば、ネット小説では、そこまで気にする必要はないと思います。そうしたリアリティよりもシンプルに面白さが追求されるべき世界ですから。

 

筆者はずっと新人賞からのデビューを狙い続け、そちら向けの作品しか書いてこなかったので、リアリティに対する執着が強いのだと思います。過去のレビューを振り返りますと、新人賞の選考においては、作品のリアリティは相当に厳しく見られているように感じました。

 

これに関して、一つ個人的に印象的なエピソードがあります。

 

GA文庫に『高卒参謀長と《白鯨殺し》の少女」を応募した時、最終選考に残った作品を編集部の方々が自身のtwitterアカウントで一言コメントしていらっしゃいました。その中に、筆者の作品に対するコメントで「この手の作品にありがちな『それおかしくね?』というのがないのが良かった」というのがありました。改めてリアリティの大切さを感じた、そしてその方向性に間違いはなかったことを実感したコメントでした(意図を読み違えていたら笑えますけどね。苦笑)

 

     *

 

ただし。

 

それではバトルがかなり地味になってしまいます。ですから、一定フィクションとしての要素=キャラクターに喋らせることもやはり必要だと思います。これが上記4項目のラストに挙げた「演出上どうしても必要な声」ですね。

この時に重要だと思うのは、リアリティとフィクションのバランスですね。個人的にリアリティのほうが多いことは必須で、その割合もなるべく多いほうがいいと思っています。

 

筆者はこの演出上の声を用いる時、基本「一度のバトルで、たった一言」としています。

 

ちなみにバトルの演出を考えるときは、この一言を起点にして考えるようにしています。このたった一言をとにかく熱いものにして、それをめざして演出を逆算していきます。

なぜかというと、こうして「セリフの起点」をつくるようにしてから、バトルの熱量を高めやすくなったからです。ただこのあたりは言語化できていないので、詳細は割愛します。といったところで、今回はこのへんで。