cachikuのブログ

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コーベット『海洋戦略の諸原則』vol.003|戦争には死に物狂いで勝ちに行くものと、そこまで重要でもないものがある

《参考図書

  • コーベット『海洋戦略の諸原則』(原書房、矢吹啓訳)

 

《今話で取り扱う範囲》

  • 戦争の性質―限定と無制限(第1部・第3章)

 

     ◇

 

戦争には死に物狂いで勝ちに行くものと、そこまで重要でもないものがある

さて、絶対戦争の定義を見直すなかで、クラウゼヴィッツは戦争が「政策のほかの手段による継続」であることに辿り着きました。それは第1章で見た通りですね。

彼はそこからさらに考察を進めて、戦争の目標を「限定的」と「無制限」の2つに分類するに至ります。

 

それまでの軍略家たちは、目標の物質的な要素しか分析してこなかったため、この違いを見いだせなかったとコーベットは言います(ちなみに、クラウゼヴィッツも『戦争論』の中で似たようなことを言っています)。彼らは「戦争が戦われた目的」(同盟国の救援、領土の獲得など)によって戦争を分類しようとしました。それに対して、クラウゼヴィッツは、そうした区別は非哲学的であり、戦争を理論化する上で正当ではないと確信していたのです。結果、彼は戦争における「精神的な要素」に価値を見出し、それを踏まえて再分析したことで、上述の結論に至りました。

 

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